「わる……悪かった……。雅紀、悪かった」

そう言うと、河合は声を押し殺して泣き出す。

うめくような声で。

何度もなんども「悪かった」と言いながら。

「父さん、俺、今度結婚するんだ」

「えっ」

バッと顔をあげた河合は、ふるえる声で、

「そうか、そうか」

と言ってまた泣き崩れた。

「とても良い子でね。父さんもきっと気に入ってくれるよ」

「……そうか」

鼻をすする河合に雅紀は顔を近づけた。