でも、こういう時の答えも知っている。


「それはね、『河原崎亜美だからできること』なの」


楓もその言葉で「なるほど」と、なんだか納得している。


「今さらなんの用だ」

ようやく河合が言葉を発した。

「父さん」

「お前なんか知らん! あの時、俺を置いて出て行ったくせに!」

地面の上であぐらをかいてそっぽを向く。

それを見おろしていた雅紀がさみしそうに言う。

「まだ中学生だった僕になにができるんだよ。僕が好んで出て行ったと思ってるのか?」


その言い方は静かでいて、そして怒りを含んでいるように聞こえた。