「あー。手荒にしないで、って言ったのにぃ」

「なに言ってんのさ。あたしのおかげで助かったんだからね」

手をパンパンと払って萌絵が言った。

「お、お前ら……。いったいなんなんだよ。誰なんだよぉ」

ようやく起きあがった河合が息も絶え絶えに言ったその時。

門のそばにリムジンが音もなく停車した。


そこから降りてきたのは、亜実。


今日はさすがに制服を着ている。

「遅くなりました」

私たちに優雅にあいさつをしてから、亜実は地面に座り込んでいる河合に近づくと、

「はじめまして。河原崎亜美と申します」

と、丁寧にお辞儀をした。