違うって。

ヤバいのは河合だってば!

「河合さん、ダメ! こっちに来たらあぶないっ」

「なに言ってやがる! どけ!」

歩みをとめない河合が私に近づく。


ああ……。


逃げて。


形相を変えた河合の前に、いつの間にか萌絵が立ちはだかったかと思った一瞬ののち、彼の体は宙に浮かんでいた。

「えいっ」

かわいい声で萌絵が言うと、ズドン!

鈍い音を立てて河合は地面に落ちていた。