「……なんだと?」

眉をひそめた河合の手をするりと抜けると、涼は肩をすくめた。

「頼んだのは、あなたの家族です」

「な……」

狼狽したのか、河合は後ずさりをした。


『家族』という言葉に反応したのは明らかだった。


「お、俺には家族なんてない! 勝手に触るな! お前ら通報してやる!」

そう叫ぶと、私たちのいる玄関に向かって歩き出す。


ヤバい!


萌絵を見ると、

「ほら、やっぱあたしがいて正解」

と、ニヤリと笑った。