遅れてなんとか萌絵のそばに行くと、

「ね、あたしにたのんでよかったでしょ」

と、自慢げに鼻を鳴らした。

「なにやってんだ、って聞いてんだ!」

怒鳴り声に振り向くと、河合が涼の胸ぐらをつかんだところだった。

はじめて見る河合は、意外にもふつうのおじさんだった。

ゴミ屋敷に住んでいるのだから、もっと汚れている人を想像していたけれど、実際はさすがは元社長だけあって小ギレイな印象。

「なに、って。俺たち頼まれて掃除してるんすよ」

あくまで冷静に涼は言った。

「頼まれて!? 俺はそんなの頼んでねぇぞ!」

「河合さん、あなたにじゃないですよ」