「好きなら、勝手に好きでいようって思って今日までやってきたの。今さら告白したって仕方ないでしょう? この木が好き。彼が好き。それでいい、って思うの」

「……そうなの?」

「うん。あえて今の関係をこわさなくても、存在がなくなるよりはマシだもん」

晴れやかに言う楓。


きっと、これまでずっと悩んできたんだろうな。


悩んで悩んで出した答えなら、私なんかに言えることなんてない。


私も……。


いつか、涼と離れてしまう日が来てもそんなふうに思えるのかな?