「こちら、『秋の旬彩弁当』となります」

「はぁ……」

「お飲み物は、ワインでしょうか?」

「いえ……未成年ですから」

「それでは、しぼりたてのぶどうジュースなどいかがでしょうか?」

「はい。……お願いします」

黒いスーツの40代くらいの男性はほほえむと、前の席へとスムーズに動いて行った。


私は涼を見やる。


すると、涼もぽかんとした顔でそれを見送っている。

「さ、いただきましょう」

両手を合わせた亜実だけが、この状況を受け入れているようだった。