「昔は奥さんと息子さんがいらっしゃったのよ。河合さんは会社の社長をしてらしてね。こんな大きな敷地の家で社長って割には、穏やかな印象しかなかったのよね。でも、15年くらい前かしら、奥さんと息子さんが家を出て行ってしまったの」

「それでそれで?」

そう聞いたのは、やはりミーハーな萌絵だった。

女性は突然身を乗り出してきた萌絵に驚いた様子だったが、

「それから、こんなふうにゴミが増えだしたのよ」

と、寂しそうに言った。


「へぇ……」

私もつぶやいた。