「この家の野郎。『絶対に同意書なんて書かない』って言い張ってるらしい」

涼がイライラした口調でその家の門をにらみつける。


この家……。


生徒の間でも有名な家だ。

かなり広い敷地なのだが、門のそばまでガラクタで埋まっている。


___通称、『ゴミ屋敷』


「この家は、木のいちばんそばの家になります。ですので、ここから同意いただけないと厳しいですね」

ふう、とため息をつく亜実は、それすらもサマになっていた。

「アタシがそんなやつ投げ飛ばしちゃうよ」

そう言って、門に向かって歩き出す萌絵の手をとっさにつかんで止めた。