校門近くまで来たとき、壁沿いにもたれている涼の姿が見えた。

亜実もいる。

ちょうど紅葉の木が壁越しに見える位置だ。


「遅い」

開口いちばん言う涼を、

「はいはい」

と、軽く受け流して亜実のそばへ。

「校長先生から連絡ありましたか?」

亜実は私服だとまるで大人の雰囲気。

白いシャツに黒いスカートが、実年齢よりもぐっと上に見せる。

なんだかいい匂いまでするし。


オヤジっぽいことを考えながらも、私はうなずく。