涼が私を意識していないのは一目瞭然だし、逆に優しくされたら期待しちゃうもんね。

「このほうが気楽だし……ね」

つぶやく声が風に溶けてゆく。


そう、期待しなきゃ苦しくならないから。


「なにが気楽なの?」

後ろから声がして思いっきりびっくりした。


立っていたのは萌絵だった。


「びっくりした……」

まだドキドキしてる胸をおさえて文句を言うと、萌絵はキャッキャッと高い声で笑った。