有無を言わさない亜実の口調に校長先生もタジタジの様子で、

「はぁ。た、ただ……、市からの要請ですでに契約も結んでいるわけだし……」

と、流れ落ちる汗をぬぐっている。

「紅葉の木をうまく掘り起こして、他の場所に移せばいいんじゃないすか?」

涼の言葉にも校長先生は恐縮しまくっている。

「いや、私もあの木は昔っからよく遊んだ思い出もあるからね。なんとか移植をしたいとお願いしたんだが、それには多額の費用がかかるんだよ……。どうしても予算がおりなくってね……」

「その費用、うちが払います」

亜実がそう言うが、校長先生は黙って首を横に振った。