涼が1歩前に出て木を見あげる。

「この木が、そんなに楓にとって大切なのか?」

下から見あげる木は葉を生い茂らせ、風に揺れるたびに音を奏でている。


葉は徐々に赤く色づいて……。


「あれっ?」

思わず出たすっとんきょうな声に3人の視線が集まった。

「どうかしましたか?」

亜実の声に私は葉を指さす。

「赤くなってる……。桜の木も秋になると色が変わるの?」

「はぁ?」

涼がまゆをひそめた。


ヤバい。


またヘンなこと言ったのかな。