「バカってひどい! だってどんな依頼でも引き受けるんじゃなかったの? 楓さんがかわいそうじゃない」

「だからお前はバカだって言うんだ。いちいち依頼者に感情移入すんな」

あきれた声で涼は言うと、腕を組んだ。

「だって……」

下くちびるを出してふくれる私に、三つ編みの亜実が、

「でも、今回ばかりは厳しいです」

と、涼をかばった。

「うー。亜実さんまでぇ」

「あのな」

涼が私の前のソファにドカッと腰を降ろした。

「あの木はな、もうずいぶん前から倒されることが決まってたんだ」