「小さい頃はね、みんなあの木によじ登って遊んだりしたんだよね。枝が太いから何人乗ってもビクともしないの」

「そう……」

「近所の人にとっては、あの木は大切な町のシンボルだったの」

そう言って楓は言葉を切って私を見た。

「それなのに、今度あの木が切り倒されるんだって」

「どうして?」

「さぁ……」

フッと笑うと、楓はまっすぐに私を見た。

「でも、私にとっては大切な木なの……。倒されるなんて悲しすぎる。だから、それを『お助け倶楽部』の皆さんで阻止してもらいたい。それが、私の依頼です」