「あれを守ってほしいの」

「え? あれ、って……」

指の先にあるのは、グラウンドでサッカーをしている男子学生たち。

「あの子たちのこと?」

私の言葉に楓は首を振る。

「もっと向こう」

「もっと……?」

グラウンドの向こうには、用具入れ。


あれかな……?


目をこらす私に、楓は息をひとつ吐いた。

「用具入れのもっと奥に、大きな木が見える?」