「ま、あせらずにやんなさい」

私の気持ちを理解したかのように言う。


なんだかお母さんみたい。


そんなこと言われても、『恋』はひとりじゃできないんですけど……。

その時、グラウンドの真ん中を歩いている女子の姿が視界に入った。

こちらに向かってゆっくりと進んでいる。

遠くからでも線が細い子に見えたけど、近づくとさらにその華奢さがわかる。

目の前に立った女子は、パッと見、中学生くらいに見えた。

でも、同じ制服を着てるからこの高校の生徒なのはたしかだろう。

どことなく幼い顔立ちだが、意志の強そうな目が印象的。

顔色が悪く思えるんだけど、気のせいかな……。

手足なんて、木の枝みたいに細い。