「は?」

「他に好きな人ができたなら、ちゃんと言えばいいじゃない。それを、無理やり相手のせいにするなんて、男らしくない!」

「……やってらんねー。俺、もう帰りたいんだけど?」


こいつ……。


胸ぐらをつかんでやりたい衝動がわきあがってくるが、意外にも涼は、

「はい、どうぞ」

と、手の平で入り口をさした。

「ちょ、涼! このままでいいの!?」

非難の声をあげるが、涼はあいかわらずのポーカーフェイス。

「じゃあな」

そう言い捨てると、堂々と部室の入り口に向かってゆく太一。