電話一本で簡単に映像を持ってこさせるなんて、亜実ってやっぱすごい。

「たまたまだろ。他で会ったときは寝てるに決まってる」

まるで汚いものを見るような目で紗江をにらむ。

そんな太一に、涼は小さくバツと作った。

「残念、それも不正解。紗江とその男性はその日が初対面だったんだ」

「な……」

「相手の男性に話を聞いたよ。頼まれて仕方なく引き受けたそうだよ」

「お前、そいつに会ったの……か?」

はじめて驚いたような顔をした太一。

「ようやく太一も、自分の方が分が悪いってことがわかったようだね」

「お、俺はなんにも知らない! 知るかよっ!」


意識していないのだろうが、自然に太一が後ずさった。