「ふざけないでくださいよ。今、大事な話をしてんですから」

「ああ、これは失礼。いや、ね。太一君、君の演技があまりにもすばらしかったから、つい拍手をしてしまったよ」

にこやかに返す涼に、太一の顔つきがさらに険しくなる。

「は?」

涼はすました顔で床に散らばった写真を指さす。

「この写真、たしかに浮気現場の写真に見えるね」

「なに言ってんすか。撮ったのはあなたたちじゃないですか」

「たしかに」

うなずくと、涼はサッと立ちあがった。

紗江はまだうつむいたまま首を振っている。

「でも、太一。この写真には決定的におかしなところがある」