「紗江、別れてくれ」


その声に、動いたのは涼だった。


さっきまで太一が座っていた椅子に音もなく座ると、足を組んだ。

そして、そのままゆっくりと拍手をした。



パチ パチ パチパチパチ



乾いた拍手が部室に鳴り響いた。


「……なんすか?」

場違いな拍手に太一が抗議の声を出す。

「なにが?」

すました顔で涼が聞く。