私は静かに部室のドアの方へ足をすすめた。

涼も近くにあった壁にもたれる。

「じゃあ、自分で言え」

「え?」

「紗江に直接言えばいい。それが太一の答えなら」

そう言って私の方を見てくる。

軽くうなずいた私が部室の扉を開けると、紗江がくちびるをぎゅっとかんだまま入ってきた。

その姿を見て、太一が驚いた顔をして立ちあがる。

「紗江……」

紗江は顔をあげないまま私の横に並ぶと、

「太一……」

と、小さな声をこぼした。