「ええ?」

萌絵。

「えええ?」

琥太郎。

「お前ら、ちょっと来てくれ。俺をなぐさめてくれよ」

そう言いながら、ふたりの肩を力強くつかむと、涼は校門の中へ強引に連れてゆく。

「あ、あの?」

「ちょっと、ちょっと!」

叫ぶふたりの声はすぐに消え、校門の前には私と紗江だけが残った。


最後の方に、萌絵が「あなた誰なの?」と言っていたが、紗江にはどうやら聞こえていない様子。