「ん?」

大きな声にびっくりしたのか紗江は立ち止まってくれた。

「もう少しお話を伺いたいんです。今、お時間ありますか?」

「え?」

「ほ、ほら。美術部の顧問の先生の話とか、コンクールとかの話とか」

断らないで~。

ここで断られたら、めんどくさいことになるから!

私の祈りが通じたのか、紗江は、

「いいですよ」

そう快く言ってくれたのだった。


良かった。


とりあえず、これで台本通りには進んでいるはず。