夕方6時。

校門の前で立っている私に、亜実が近づいて来た。

見ないように校舎の窓をぼんやり眺めているフリ。

これは、台本に書いてあったこと。

亜実はすれ違いざまに、小声で、

「今、出てきますから」

そう私に告げて、そのまま通り過ぎて行った。

言われた通り、その人物はすぐに校舎から出てくると、まっすぐに私のいる校門へと歩いて来た。

まず、向こうに気づいてもらわなくてはいけない。


気づいてもらえなかったら、こちらから声をかける手はず。