亜実は少し驚いた顔をしたが、そのまま黙ってまっすぐに千佳を見ている。

ツバをごくりと飲みこんでから、千佳はふるえるくちびるを開いた。


「あたし……」


そして、3秒ほどの無言の時間。


ついに紗江の浮気について語られるかと思った次の瞬間、千佳は勢いよく立ちあがった。

「あたしっ! やっぱり友達を裏切ることなんてできない。ごめんなさい、失礼します!」

そう言うがいなや、駆け足で生徒会室から出て行ってしまった。


バタンッ


勢いよく扉の閉まる音が部屋に響く。