自分のしぐさに気づいたのか、千佳はバッと顔を伏せた。

「あたし、知りません。紗江が浮気とか、そんなの知りません!」


なんてわかりやすい。


私は亜実と無言で目を見合わせた。

「安心してください。私は紗江さんを責めるつもりで伺ってるわけではありません。事実確認をしたいだけなんです」

「でも、でもっ! あたしは知らない。知らない!」

叫ぶように言うその声はふるえていた。


首を思いっきり左右に振り続けている。