「あれ? 今、ひとりですか?」

涼の姿が見えないので尋ねると、

「あ、そうでした」

と、亜実はパチンと両手を合わせた。

「これを渡すように言われてたんです」

そう言いながら、なにやらメモの書いた紙を私に渡した。

「これは?」

「台本です」

「台本?」

「最後のシーンで必要なものです」

「はぁ……」


意味がわからないまま、物事が進むことにも慣れてきた。


意外にも私は順応性があるらしい。