「どうでした？」

扉を開けると、すぐに亜実が近づいてきた。

「今のとこは大丈夫……だと思います」

「そう。それなら安心です」


心配してくれていたのだろう。

亜実は胸に手を当ててほほえんだ。


「でも、紗江さんって……。そんなに悪い人には見えない」

私にもすごく優しかったし。

どうも浮気する人、っていうイメージじゃない。

「人はいろんな顔を持ちますから」

短くそう言うと、少しだけ悲しそうな表情を見せた。