「よかったら、なにか描きますか?」

開いている椅子を手のひらで指す紗江。

「いえ……。今日は見学だけで大丈夫です」

だって私が描けるのは、昔やってたアニメの絵描き歌くらいだし。

「そうですか」


あっさりと紗江は引きさがったので、お礼を言って美術室を後にした。