「水彩画ですか? 油絵ですか?」

首をかしげて紗江が尋ねる。

「え、えっと……」


『ボロを出すなよ。自信もって行け』

さっき涼に言われた言葉を頭に思い浮かべながら、私はほほえんだ。


「ポール・サンドビーの絵が好きなんです」

「イギリス水彩画の父、ですね」

紗江は納得したように大きくうなずいた。

「もちろん、あんなふうには描けませんけどね」


……うまくいったみたい。


スマホでさっきいろいろ検索した意味があったってものだ。

ホッとして思わず大きく息を吐き出しそうになるのをなんとかこらえる。