「本当は、部の案内は部長や副部長がやることになっているんですが」

そう言うと、紗江は少し困ったような顔をして続けた。

「今日は珍しくお休みでして、なぜか私に依頼がきたんです。うまく説明できなかったらごめんなさいね」

本当に申し訳なさそうな紗江に、逆に恐縮。

だって、生徒会長である亜実のチカラで、紗江が私に説明をすることになっているのだから。

今頃、美術部の部長と副部長は、亜実の招待で個展に招待されているはず。


絵具の匂いが漂う美術室を、紗江と一緒に歩く。


「専門は?」

「え?」