自分でも自制できない。

なぜかこの場所にいられないって、そう思っちゃったから。


「ちょ、どうしたのさ」

ようやく追いついた萌絵がくちびるをとがらせて言う。


後ろをふりかえると、まだあのベンチには男子生徒がさっきのかっこうのまま座っているのが見えた。


「なんでもないよ。トイレ行きたくなっちゃって」

あはは、と笑いながらもまた視線が固定されている。


ヤバい。


また見ちゃうよ。