そんな私を笑って、村瀬さんは膝を曲げる。

少し近付いた顔の距離に驚いて一歩後ずされば、村瀬さんは苦笑しながら声を潜めた。


「三浦は最近、どんな感じ?」

「え、ひ、……日向先輩ですか?」


どんな、って。

そう思いながら後ろを振り向くと、日向先輩はようやく笑いが止まった紫苑先輩と今度は言い合いをしていた。


「えっと……、い、いつもあんな感じで、熱血って感じ……です」


ざっくりとした問いかけにしどろもどろ答えれば、熱血、と村瀬さんは私の言葉を繰り返して呟いた。


「ね、熱血、というか、えっと、頼れるアニキ的な……?」

「頼れるアニキ」

「あ、でもちょっと口うるさい姑みたいなところもあって」

「口うるさい姑」

「その畳み方は皺がつきやすいとか、ちゃんとハンガー片付けろとか……」


というかこれ、私に聞かずに直接日向先輩に聞いたほうが早いのでは。