ねえ、と困ったように笑いながら先輩二人は顔を見合わせる。それだけで古賀先生は何かを察したようで、納得したように頷いていた。

真央くんストップって何、と窓際でココアを飲んでいる真央くんを見たけれど、真央くんはそっぽを向いていてどんな顔をしているのか分からなかった。


「でもそろそろ、葵ちゃんも思い出してきた頃じゃない?」


不意に紫苑先輩の声が私へと向く。黒曜石みたいな瞳が射貫くように私を見ていた。


ここに来る前のこと。それはきっと、どうして掲示板の前に立っていたのかということだろう。


蓋をしてごまかしていた記憶が、ゆっくりと湧き出るように広がっていく。


私を支配していた無気力感。

急にすべてがどうでもよくなって、自分の存在する意味が分からなくなった。

ここから飛んだらどうなるのだろうと、グラウンドを見下ろしながら思った。



あのとき、私は――。




「“死にかけ”が集まる部活があるって聞いたことない?」




風の強い屋上にいたはずだった。