彼の隣に木村が並んだのを確認して、部長はまた次へと足を進める。その後ろをついていきながら呟けば、木村はくすくすと笑った。
真面目すぎる、というのは人生でよく言われた言葉ベストスリーに入る。そしてその言葉はいつも、呆れたように掛けられるものだった。
「真面目で何が悪い」
ムッとして言い返せば、さらに木村は笑う。何がそんなに面白いのか分からず彼が首を傾げると、不意に木村は前を歩いていた女子生徒の肩を叩いた。
「葵ちゃん、それ今井に持ってもらおう」
「は?」
何を言っているのかと思えば、どうやら女子生徒が持っている洗濯かごのことらしい。突拍子もないその思いつきにますます眉根が寄る。
しかし木村は彼を気にすることなく、女子生徒へと笑顔を向けていた。
「え、あの、でもこれ」
「それ結構重いわよね~、せっかくだから手伝ってもらいましょ」
「いや、これそんなに……」
「体験入部なんだから、体験してもらわないと。実際やってみないと分からないことだってあるでしょ?」
ね、と微笑んだ木村に女子生徒は少し迷うような態度を見せる。
何か言おうとしているようだったが、それよりも彼は自分の心臓の音が気になった。