「……これは部活動っていうより、慈善事業だな」
くだらない。洗濯なんて各自ですればいいだろう。
わざわざ回収に行って、洗濯して、干して、綺麗に畳んで、それをまた渡しに行って。この繰り返しを部活動というのだろうか。
「慈善事業か。確かにそうかもね」
隣を歩く木村が、可笑しそうにそう言った。
艶のある黒髪がサラッと揺れる。
「でもね、これが意外と楽しいのよ」
霧のような雨が降っている。傘を差すか差さないか微妙なところだが、洗濯部の四人は差さずにグラウンドを歩いている。
先頭を意気揚々と歩いている部長、その後ろをびくびくしながらついていく女子生徒、彼の隣で妖艶な笑みを浮かべる木村、そして彼の後ろに壁のように立つ美青年。
“死にかけ”が集うとされている洗濯部。
今井康平は、その一員として自分も引き寄せられてしまったことに戸惑っていた。