「まあいいじゃないっすか! ささ、座って!」

「いや、だから人の話を」


話の核には触れずに、先輩二人はアイコンタクトをとる。

今井さんはそれに気付いてか気付かずか、さらに言葉を重ねる。



「ここは一体何なんだ」


ガタッと大きな音がした。

驚いて見上げると、どうやら斜め前の真央くんが立ち上がった音だったらしく、険しい顔をした真央くんが私を見ていて。


「……へ」


ずんずんと私のほうへ近付いてきたかと思えば、そのまま腕を掴まれる。

ぐいっと引き上げるように力を込めた真央くんによって、私の腰は簡単に椅子から離れた。

そのままドアのほうへと進む真央くん。引っ張られるようにして私の足もそちらへと進む。


「え!? ちょ、ちょっと真央くん」


いきなりどうしたの、と私が真央くんに聞いている間にも今井さんは言葉を続ける。



「五号館なんてこの学校にはないはずだ。それがどうして存在している?」