どうして真央くんが泣いているのか、お昼ご飯はもう食べたのか。

聞きたいことはあるのに、口を開くよりもその涙を見ていたいという気持ちが勝る。


真央くんは私を見たまま、やがてゆっくりと口を動かした。




「……っ」



ヒュウ、と息を吐き出した音がする。




(ごめん)



そう言っているように見えたのは、気のせいだったろうか。











それからどのくらい時間が経っただろう。

急に聞こえてきた慌ただしい足音に、我に返った私は入り口へと顔を向けた。

何やら話し声と共に聞こえてくる足音はだんだんと近付いてきて、隣に座っていた真央くんが立ち上がったのとほぼ同じタイミングで、ドアが開いた。



「……真央っ!」