お母さんの天然ボケに、思わず息が零れた。
一度零れたそれはなかなか止まることがなく、だんだんと苦しくなってくる。
「ふ……う、ふふっ……ふっ、うっ」
みんなに気を遣わせてしまったこととか、突然雨が降ってきたこととか。
いい歳してキャラ弁づくりに力を入れているお母さんが、毎朝すごく早い時間に起きていること、とか。
楽しいお昼休みを過ごしているはずの娘が、ぼっちでキャラ弁を食べていることを知ったらお母さんはどう思うのだろう、とか。
色んなことが重なった今の私には、それを止めることができなくて。
笑うために出てきた吐息は、いつの間にか嗚咽に変わる。
前髪だけでは隠しきれない涙を隠すように、パイプ椅子の上に足を乗せて、膝に額をくっつけた。
ぽつぽつと降っていた雨は、次第にバラバラと音を立てながら窓を叩く。
お腹の奥が鳴ったようなゴロゴロという空の音が時折聞こえた。
「うっ、ううー……」
上手くいかない。上手くできない。
もどかしい。どうにかしたい。でもできない。
ぐるぐると感情が混ざって、喉の奥が焼けるように熱い。唇を噛んでも、すべてを吐き出すような熱い息が漏れる。
ぎゅっと縮こまりながら自分の肩を抱いていると、不意に隣の空気が揺れた。