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キーンコーンカーンコーン、とチャイムが鳴る。
四限目の授業を終えて教室から出て行く古典の先生と、ガタガタと立ち上がる生徒たち。
昼休みがきてしまった。今日はどこで食べようかな、なんて。
教室で食べる勇気のない私の席は、真ん中の列の一番後ろ。そのうち前の席の寺島さんの友だちが、私の席を使うだろう。
お昼は部活の友だちと食べている、という私の言葉を信じて毎朝お母さんが気合いを入れて作っているキャラ弁を持って立ち上がり、教室の後ろのドアへと向かう。
廊下側の一番後ろの席で明るい髪色の米川さんは、早々と文庫本を読みながらメロンパンをかじっていた。
もちろん髪を染めるのは校則で禁止されているけれど、それを堂々と破る米川さんは、クールな一匹狼という感じで周りの目を気にしていないようだ。
教室でご飯を一人で食べる彼女を尊敬しながら横目で見て、私は廊下に出た。
廊下は生徒のざわめきで溢れていた。
人と人の隙間を縫いながら、今日の目的地を決める。よく行くのは体育館横のベンチ。綺麗に花が植えられているそこは穴場で、意外と人が通らないのだ。万が一、誰かが通ったとしても、スマホで花の写真を撮っているふりをすれば「あの子花が好きなのかな?」で押し通せるだろう。
そう考えると、やっぱり今日も体育館横がいいな。よし、と頷いて渡り廊下のほうへと足を向けた。
そのときだった。