「こら真央、日誌ちゃんと書けって何回も言ってるだろー」

「……」

「無視! お願いだから無視すんな!」


ぐわんぐわん、と低く響く洗濯機の音。青い空とパタパタはためく洗濯物。

紫苑先輩は優雅にハーブティーを飲んでいる。

日誌の真っ白のページを開けて日向先輩は真央くんに詰め寄っていた。


朝七時半。昨日集めたものをベランダに設置されている洗濯機に入れて、スイッチを押す。

汚れがひどいものや洗濯機に入れてはいけないものは手洗いをするらしいけれど、私が入部してから一週間、手洗いをしたことはまだない。


夕方にグラウンドや体育館を回って洗濯物を集めたあとは、おしゃべりをするというのが常だった。

そして翌朝にこうして“朝練”をする。すなわち部室に集まって洗濯をしてベランダに干すのだ。

しかしながら、朝練の時間に洗濯物を干しきれないことが多々ある。そうしたときにはいつも真央くんが干しておいてくれるのだった。


「そうだ日向、私今日放課後休むわ」

「あー、了解っす! って、ちょっと真央! これ日誌だから絵じゃなくて文字を書け、文字を!」