「じゃ、次行くかー!」

「えええっとあの、え、あの」

「いつものことよ。強豪サッカー部さまは私たちに関わりたくないんだって。それに……」


日傘をくるくると回しながら、紫苑先輩はそう言う。

サングラスの奥の瞳はどこを向いているのかよく分からなかった。



「私がいるから」


「……え?」



ぽつりと落とされたその声。聞き取れず首を傾げると、何でも無い、と紫苑先輩は笑った。








「三浦!」


最後にやって来たのは陸上部のところ。

日向先輩が挨拶するよりも先に私たちに気づいた一人の男子生徒が、よっと手を挙げてこちらに走って来た。

半袖のTシャツに半ズボン。こんがり焼けた脚は綺麗に筋肉がついている。


「よお村瀬、何か洗うものない?」

「俺らは洗濯してもらうもの全然ねーよ」


村瀬、と呼ばれた男子生徒は、お前それくらい分かってるだろ、と日向先輩に言う。その様子から見て、村瀬さんは日向先輩の友だちなのだろう。