そういえば、日向先輩は真央くんには声を出すように言わないのかな。
少し気になって口を開きかけたけれど、いまだに言い合いをする先輩二人の間に入ることができず、金魚みたいに口をぱくぱくして結局閉じた。
「っていうか次行くのってサッカー部でしょ? そんな気合い入れなくてもいいじゃない」
「じゃあ紫苑先輩はいつ気合い入れてくれるんすか」
「私服着るときかしら」
「お願いだから部活にも全力で取り組んで!」
わちゃわちゃしている二人の後ろに、私と真央くんが並んで歩くような感じになる。
ちらりと見上げると真央くんの色素の薄い髪はサラサラと揺れていて、太陽の光を浴びて透けるようだった。
それにしても。
こんなに声を張り上げて活動しているというのに、洗濯部の存在自体に気付いていなかった自分に少し呆れる。
よっぽど周りに興味がなかったのか、気にしている余裕さえもなかったのか。
どちらにしろ、あの日あの時あのタイミングで掲示板の前に私がいなければ、洗濯部に関わることはなかっただろう。
そう考えるとこの洗濯部というものが不思議で奇妙なものに思えて仕方なかった。