ふっと空気が揺れた。


我に返って視線を動かせば、ずいと差し出されたかご。



「え」


顔を上げると真央くんが私を見下ろしていて、もう一度押し付けるように洗濯物が入ったかごを差し出してくる。


……これは、一体どういうことだ。持てってこと?

この状況がいまいち理解できない。でも、考えるより先に腕が動いた。


恐る恐るかごを受け取る。私が両手で持ったのを確認して、真央くんはすっと手を離した。


「あ、思ったより軽い……」


無意識のうちに零れた言葉。想像していたよりも重くない。

じゃあどうして真央くんはあんなに嫌そうにしていたんだろう。


そこまで考えて、ふと気付く。



もしかして真央くんは、重たいのと問いかけた私に答えようとしてくれたのだろうか。






「ねえ、真央く……っ」


バッと顔を上げて、息を吸い込んだ。

答えようとしてくれたの、と聞こうとして開いた口はその瞬間動きを変える。