不思議そうに首を傾げた部長さんに、日向先輩が私を見る。その視線を辿るように部長さんは私を見て、おお、と声を上げた。

どう反応するのが正解なのか分からず、とりあえずぺこりと頭を下げた私に、日向先輩は満足げに頷く。

部長さんは、ふむふむ、と頷きながら私をまじまじと見る。これ以上どう反応すればいいか分からなくて視線を落とした。


と、そのとき。



「紫苑さん今日も美しいっす!」


ひときわ大きくて野太い声が耳に飛び込んできた。

反射的に顔を上げて声がしたほうを見れば、紫苑先輩を囲うように数人の部員さんが立っていて。


「ありがとう、みんなも練習お疲れさま」


サングラスを外して、にこりと笑った紫苑先輩。顔の傾き加減が絶妙で、黒髪が流れるように肩から落ちる。

笑顔を向けられた部員さんたちはみんな照れたように笑って頭を掻いていた。


「す、すごいね紫苑先輩の人気……」

「……」


呆気にとられて、思わず隣に立っていた真央くんに話しかける。

が、もちろん返事はない。ちらりと私を見下ろして、真央くんはまた興味なさげに視線を逸らしていく。

予想通りの反応に、もはや削られるメンタルもない。