「この二週間、真央くんは洗濯物を回収してないってことですか」

「そういうことになるな、多分」


あれだけさぼるなって言ったのに。そう吐き出すように言った日向先輩。


「分かりました、ありがとうございます」


ぺこりと頭を下げて、じゃあ、と手を振る。

また走り出した私の後ろから、日向先輩と村瀬さんの困惑したような声が飛んできたけれど、振り向くことはしなかった。



せっかく拭いてもらった髪は、また雨に濡れる。

きっと真央くんは五号館二階奥の空き教室にこもっているのだろうということは、たやすく想像できた。


「五号館、五号館……っ」


呟きながら、学校の敷地内を走った。


一号館と二号館は私たちが普段授業を受ける教室があるところ。

三号館には家庭科室やパソコン室、多目的ホールなどがあって、四号館には図書館とオープンスペースがある。

武道場は剣道部と柔道部がそれぞれ半分ずつ使用している。今日みたいな雨の日は、普段外で練習している部活の人たちがトレーニングルームに集うのだろう。

体育館の横を通り過ぎる。私がぼっち飯をするときに使っていたベンチ。綺麗に花が植えられた花壇。