「っていうか何だよ! 俺せっかく陸上部で洗濯する物集めて、お前らが回収しに来るの待ってたのに一回も来ねーじゃん!」
「……えっ」
「えって何だ、えって! 俺あんなに言ったのに、ちゃんと回収に来いよって!」
「あの、日向先輩」
「何だ!」
「私、退部したんです」
今度は日向先輩が、えっと言う番だった。
「日向先輩が退部した日の放課後、私も出て行ったんです」
私がそう言った瞬間、日向先輩はとても嬉しそうに目尻に皺を寄せた。
洗濯部から退部をするということは、すなわち前を向いたということ。
喜ばしいことなのだと分かっているからこその反応で、私も嬉しそうにしてもらえることは、とても嬉しかったけれど。
「……じゃあ待て。今、洗濯部には真央しかいねーってことか?」
私はこくりと頷いて、険しい顔をした日向先輩に確認するように呟く。