反射的に立ち止まり、きょろきょろと辺りを見回せば。
「日向せんぱっ、村瀬さん……っ」
傘を差した二人組が、驚いたように私を見ていた。
部活の途中なのか、二人とも半袖のTシャツとハーフパンツで、綺麗に筋肉のついた脚を晒している。
今だけこの脚と取り換えてほしい。そう羨望の眼差しを送っていれば、あっという間に二人は私の元へと駆け寄ってきた。
「どうしたんだお前、びしょびしょじゃねーか! 傘あるなら差せよ!」
「すごい息切れしてるけど大丈夫? あ、よかったらこのタオル使って」
「あのっ、私急いでてっ」
「そんくらい見りゃ分かるわ!」
何故だか半ギレ状態の日向先輩と、私の髪を拭いてくれる村瀬さん。
もうこの対応の差でどちらがモテるか一目瞭然だな、と失礼なことを考えながら、久しぶりに見た日向先輩が相変わらず元気そうでほっとする。
そんな私とは対照的に、日向先輩は溜まっていたものを吐き出すように口を開いた。